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【20年度入試の特徴&総括】「共通テスト」で超安全志向!!「定員の厳格化」継続で、私立難関大の志願者が減少。

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20年度入試も「定員管理の厳格化」が影響

 16年度から始まった「定員管理の厳格化」が、20年度も継続される。20年度の定員オーバーは、19年と同じで大規模大が1.10倍まで。これを超えれば補助金がカットされるだけに、私立大では神経をとがらせている。この影響で、難関校から中堅校までが難化すると予想され、「安全志向」が20年度入試でも優先されたようだ。
 そのためか、早慶、MARCHで知られる難関私立大は、軒並み志願者数を減らしている。また、関西ではくっきりと明暗が分かれた。立命館大学は志願者が増加したが、同志社大学は減らした。(p4参照)
 2021年度に導入される「共通テスト」の導入が迫る中、新テストは受けたくない、浪人したくないという安全志向も強く前面に出たようだ。

最後の「センター試験」は平均点ダウン

 私立大の「センター利用入試」は、20年センター試験の平均点が下降した影響もあり、例年と違う動きを見せた。ここ数年は、安全志向で受験生の併願数が増えてきたが、20年は平均点のダウンもあり、難化した大学を敬遠したりする傾向が見られた。東洋大学・駒澤大学は大きく影響を受け、志願者を減らした。
 受験生からは、「過去問になかった問題が出題された」などの声が上がった。例えば、英語では第4問、5問で新傾向が見られた。また、数学Ⅰ・Aでは「データの分析」「場合の数と確率」で正しい記述を選ぶ、という新しい問題が出題された。化学では、共通テストの試行調査で見られた対数目盛りのグラフが出題された。しかしそれら新傾向の問題を分析すると、基礎力を問い、図版を読み取る問題などが中心となっており、問うている内容自体は前年度並みの難易度であったと見られる。全体的に極端な新傾向は見られなかった。

従来の「難関大の序列」が微妙に変化

 20年度入試の特徴の1つは、前述した「早慶、MARCH」に、異変が生じていること。現状は「早慶、SMART+GCH」という新しいグループに変わりつつあるという。
 W合格(2校とも合格した場合の進学先大学)のデータからも、その構図が読み取れる。SMARTは上智(英名:Sophia University)、明治、青山学院、立教、東京理科の頭文字であり、GCHは学習院、中央、法政のこと。長年言われてきた、「MARCH」も変わりそうだ。また、これらに続く、「日東駒専」などにも変化があるだろう。
 さらに、受験関係者の間では、20年度入試で「Fランク大学」(偏差値が低く合格しやすい大学のこと)がなくなったと囁かれている。安全志向で、受験生が偏差値を下げて志望大学を選定したために、志願者がFランクでも増えているのだ。

コロナウイルス感染者は受験認めずも

 中国発の新型コロナウイルスが、日本社会を襲っている。受験生の被害は、幸いにも今のところ報道されていないが、各大学は対応を公表している。
 新型肺炎への懸念から、会場でのマスク着用を呼びかける大学もあった。また、多くの大学では、事前にホームページなどで「試験中の着用も認める」と呼びかけた。入試現場では、本人確認の時だけマスクを外してもらい、受験票の写真を照合した。受験会場の入り口付近にアルコール消毒液を用意する大学も現れた。
 新型コロナウイルス感染者への対応が、各大学によって異なる。「受験を認めず」、「センター試験(+調査書など)の結果で決める」などに分かれている。

文理融合学部・情報系の人気が高い

 また、もう1つの特徴は、近年、文理融合学部の情報系の人気が高まっていることだ。AI(人工知能)やビッグデータ活用が話題となり、小学校でプログラミング教育が導入されることなどが背景にある。
 こうしたニーズに対応する学部・学科の新設・改組も相次ぎ、滋賀大学、横浜市立大学、武蔵野大学に続き、20年度は長崎大学が開設。その学部は文理融合型で、ベースにあるのは統計学とコンピューターサイエンスであり、データを社会でどう活かすかを学び、学生には、グローバルな情報収集力や発想力、情報発信能力などが求められる。
 受験生が時代の流れを読んで、将来の進路を決めた結果だと見られる。