定員充足率が最も低かったのは歯学
日本私立学校振興・共済事業団による「平成30 (2018)年度私立大学・短期大学等入学志願動向」で学部系統別の動向をチェックしてみよう。私立のみの資料だが、受験生の多くは私立大に進学するのだから、動向を知る上で大いに参考になる。
「学部系統別の動向(大学)」(下表)によれば、歯学・薬学・農学系・家政学系で入学定員充足率(=入学者÷入学定員)が100%を切った。中でも、農学系は6.23ポイントダウンし、99.36% になった。前年より3学部増加したが、志願者が1,965人減ったことが要因だ。低率が続く歯学(81.29%)は、前年より0.48ポイントも下降。前年と同じ定員だったが、また充足率は悪化した。歯学・薬学は、卒業後の国家試験等も影響している。
一方、入学定員充足率が最も高かったのは体育学系で、以下、社会科学系、人文科学系、その他、芸術系、理・工学系、保健系、医学、教育学(ここまでが100%以上)、農学系、家政学、薬学、歯学の順だった。
志願倍率が高かったのは医学・理工など
また、18年度において志願倍率が高かったのは、①医学、②理・工学系、③農学系、④社会科学系、⑤人文科学系、⑥薬学系、⑦その他、⑧教育学、⑨保健系、⑩歯学、⑪家政学、⑫芸術系、⑮体育学の順となった。
前年度との比較で、志願倍率がアップしたのは、人文科学系、社会科学系、理・工学系、その他、芸術系、医学、歯学だった。文系の倍率アップが目立った。また、入学定員充足率では芸術系、医学がアップしたが、それ以外の学部系統はダウンした。
過去5か年の推移を見ると、14年度と比較して、18年度の志願倍率は多くがダウンしているが、歯学、理・工学系、人文科学系、社会科学系、芸術系、その他はアップしている。定員充足率は多くがダウンしているが、社会科学系、芸術系、その他はアップしている。
全体的には、少子化が影響している。多くの受験生は卒業後の就職を考慮するので、景気動向にも左右されるだろう。
区分 | 学部数 | 入学定員 | 志願者 | 前年志願者 | 合格者 | 入学者 | 志願倍率 | 定員充足率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
医学 |
学部 31 |
人 4,100 |
人 118,463 |
人 114,359 |
人 8,796 |
人 4,134 |
倍 28.89 |
% 100.83 |
歯学 | 17 | 2,063 | 9,332 | 9,279 | 3,622 | 1,677 | 4.52 | 81.29 |
薬学 | 57 | 11,451 | 96,008 | 101,109 | 30,387 | 10,949 | 8.38 | 95.62 |
保健系 | 220 | 34,307 | 185,322 | 179,961 | 69,269 | 34,669 | 5.40 | 101.06 |
理・工学系 | 150 | 61,917 | 728,042 | 694,118 | 230,144 | 62,876 | 11.76 | 101.55 |
農学系 | 21 | 8,309 | 83,392 | 85,357 | 25,821 | 8,256 | 10.04 | 99.36 |
人文科学系 | 245 | 69,738 | 616,582 | 556,791 | 178,046 | 72,518 | 8.84 | 103.99 |
社会科学系 | 513 | 169,202 | 1,557,832 | 1,421,465 | 398,295 | 176,801 | 9.21 | 104.49 |
家政学 | 81 | 17,254 | 77,099 | 77,566 | 34,516 | 16,816 | 4.47 | 97.46 |
教育学 | 94 | 16,678 | 108,370 | 104,972 | 36,470 | 16,722 | 6.50 | 100.26 |
体育学 | 11 | 5,043 | 16,172 | 16,720 | 7,090 | 5,368 | 3.21 | 106.44 |
芸術系 | 56 | 14,310 | 47,342 | 43,312 | 22,998 | 14,621 | 3.31 | 102.71 |
その他 | 280 | 70,614 | 514,539 | 477,563 | 166,045 | 72,366 | 7.29 | 102.48 |
合計 | 1,776 | 484,986 | 4,158,495 | 3,882,572 | 1,211,499 | 497,773 | 8.57 | 102.64 |