【19年度国公立大入試動向】学科の「改組」が目立つ。「国立理系」「私立文系」の高人気イメージが強い!!

学部の新設は福島大と東京外国語大

 文科省は8月31日、「平成31年度国立大学法人の入学定員(予定)について」を発表した。入学定員は前年度(2018年度)と比べて15人少ない9万5635人。
 入学定員の増減を分野別にみると、「人文社会」80人減、「理工」30人減、「教育」15人減、「農水」100人増、「薬・保健」10人増。合計で15人減らす。これは社会での人材の需要を反映しているかもしれない。
 学部の新設は、福島大(農学群)、東京外国語大(国際日本学部)の2学部。学科の廃止は、大阪大(薬学部薬科学科)の1学科。そのほか、学部・学科の改組、入学定員の改訂などをまとめた一覧表が文科省のWebサイトに掲載されている。
 16~18年度ほどではないが、19年度も改組が行われる。教員養成系や理・工系が中心になっている。従来の流れで細分化されてきた学科を1つの学科・課程に再編・統合して、入学後に専門分野を決めるシステムを導入したりする場合が多い。

京都府立大の「和食文化学科」は異色

 この傾向は、公立大においても見られる。例えば、横浜市立大では、国際総合科学部を国際教養・国際商・理の3学部に分割する。また、兵庫県立大は経済・経営の2学部を社会情報科学部と国際商経学部に改組する。
 最近は従来の学問の枠にとらわれない、クロスオーバーさせた学際的な学部が多くなっている。「リベラルアーツ学部」のように、広い分野の学問を学ぶイメージだ。
 このほか、和食ブームの人材を育成する京都府立大文学部の和食文化学科、大阪市立大文学部の文化構想学科、新見公立大健康科学部の健康保育学科・地域福祉学科などが話題になっている。
 山口東京理科大に続き、2018年度には諏訪東京理科大も公立大になったが、私立大から公立に移行する大学がある。2019年度の千歳科学技術大もその1つだが、まだ決定はしていない。

■国立大学部・学科新設&改組・定員 (文科省 2018.8.31)
学部の新設(2校)
福島大:農学群食農学類100人
東京外国語大:国際日本学部国際日本学科75人
学部・学科の改組(学部1校・学科6校)
室蘭工業大:現・工学部4学科⇒新・理工学部創造工学科365人、システム理化学科235人
宇都宮大 工学部:4学科⇒基礎工学科315人
千葉大 教育学部:5課程⇒学校教員養成課程390人
東京農工大 工学部:8学科⇒生命工学科81人、生体医用システム工学科56人、応用化学科81 人、化学物理工学科81人、機械システム工学科102人、知能情報システム工学科120人
三重大 工学部:6学科⇒総合工学科400人
愛媛大 理学部:5学科⇒理学科225人
愛媛大 工学部:6学科⇒工学科500 人
佐賀大 理、工学部:7学科⇒理工学科480人
佐賀大 農学部:3学科⇒生物資源科学科145人

景気が上向きだと「文系」の人気が高い

 難化が続くと予想される2019年度入試だが、どの学部を狙ったらいいのか。就職状況を見ると、「文高理低」が定着してきた。これは、センター試験の理科の科目負担が重くなったのが一因だ。
 一般的に、景気が上向きの時は、文系の人気が高くなる。また、最近の動向では、「理系の国立、文系の私立」のイメージが強いのも事実だ。
 ここで、2019年度の学部動向を見てみよう。人気が高いのは、私立大を中心に社会、経済・経営・商。国際関係系も手堅い人気がある。
 理系では、保健衛生系に次ぎ、工学系も志願者を増やしている。オリンピック景気もある。また、AI(人工知能)やICT(情報通信技術)・IoTなど、IT系が注目されている。医系の医・薬は下降気味、歯は低調。農・水産系も低い。介護福祉・看護系は需要がある分野だから、資格を取っておくのも1つの選択だろう。