【2019年度入試情報:変更点】国公立大入試の変更点 !!入学後に専攻コース決定、英語外部試験利用が拡大。

新設予定大学は私立の看護・医療系

18年以降は、18歳人口の減少が今まで以上に厳しくなり、「2018年問題」などと呼ばれている。大学にとっては変革を行わないと、生き残るこさえ難しくなる時代を迎えている。当然のことながら、19年度入試でも変更点はある。
初めに入試に影響を与える要因を挙げてみよう。
① 新増設・改組などの変更
② 募集人員・システムなどの変更
③ 入試科目・内容の変更
④ 試験の日程・会場の変更
⑤ 配点の変更
⑥ その他の要因 など
少子化など先行きに不透明感があるためか、大学の新設は少ない。私立の看護や医療系には見られる。長岡崇徳大:看護80人、岐阜保健大:看護80人、和歌山信愛大:教育80人、福岡国際医療福祉大:医療120人──などが新設を予定している。

時代の変化に対応させる増設や改組

各大学は、7月末までに19年度入試の変更点を発表することになっている。ここでは進行が早い、国立大を中心に紹介してみよう。
【新増設・改組などの変更】
学部等の増設は、国立の福島大:農学群食農学類、東京外国語大:国際日本、公立では富山県立大:看護が予定されている。さらに、兵庫県立大:経済・経営が「社会情報科学・国際商経」の2学部に改組、新見公立大:健康科学部に健康保育学科・地域福祉学科を増設する予定になっている。
また18年度の首都大学東京のような大規模な改組は少ないが、国立大の理・工系学部では、入学後に専攻するコースを決める動きが目立つ。
改組は、室蘭工業大:工(工→理工・4学科→2学科)、宇都宮大:工(4学科→1学科)、東京農工大:工(8学科→6学科)、愛媛大:理(5コース→9コース)・工(6学科→1学科)、佐賀大:理工(7学科→12コース)・農(3学科→4コース)など。

東京農工大工学部の学科改組

募集人員は一般・推薦・AOのバランス

【募集人員・システムなどの変更】
<定員の変更>
枠が拡大すれば、易しくなるのは当然。一般的には、都市より地方にある大学の方が入り易いようだ。主な大学について紹介しよう。

帯広畜産大 畜産=前期140人→160人、後期46人→35人、推薦64人→55人
東北大 文=前期190人→170人、AO20人→40人:法=前期138人→118人、AO22人→42人:理=前期222人→199人、AO44人→67人
筑波大 知識情報・図書館学類=前期50人→40人、推薦30人→40人:社会工学類=前期80人→83人、推薦20人→22人、AO5人→廃止
東京工業大 全学(6学院)=前期886人→900人、推薦10人→8人、AO97人→85人
大阪大 医(医)=前期100人→95人、推薦若干名→5人、医(保健)=前期151人→144人、推薦9人→16人:工=前期766人→736人、推薦54人→84人
愛媛大 理=前期142人→160人、後期32人→23人、推薦18人→42人、AO23人→廃止:工=前期321人→326人、後期105人→88人、推薦69人→86人
佐賀大 理工=前期340人→269人、後期94人→90人、推薦56人→16人、AO105人(新規):農=前期85人→74人、後期30人→32人、推薦30人→6人、AO33人(新規)
秋田公立美術大 美術=中期35人→30人、推薦25人→30人
名古屋市立大 看護=前期40人→45人、後期5人→廃止 など

<英語外部試験利用>
独自入試やセンター試験の英語の代わりに、英語外部試験(英検、TEAP、TOEFL、TOEICなど)のスコア・級を利用できるケースが増えている。例えば、広島大は全学の前・後期とセンター試験を課す推薦・AO入試のセンター試験で、英語外部試験を利用できるようになる。
さらに、東京外国語大:国際社会で導入する推薦入試も、英語外部試験を利用する。

2次試験に小論文・面接追加が目立つ

【入試科目・内容の変更】
国立大の入試科目の変更では、2次に小論文・面接を追加するケースが多い。また、入試科目が減ると、受験生が集まる傾向がある。

秋田大 [募集単位]理工前後=コース別募集(8コース)→学科別募集(4学科)
群馬大 [個別]教育(美術)前後=面接を追加
千葉大 [個別]薬(薬科学)後=総合問題→理科2科目。[2段階選抜]法政経=予告倍率[前期=募集人員4.0倍→3.5倍、後期=同15倍→13倍]
東京外国語大 [新設]国際日本・前=セ試は5教科5または6科目、個別は[英語・地歴・英語スピーキング]
金沢大 [個別]保健学類(検査技術科学)前=理科の配点200点→400点
愛知教育大 [個別]教育(中等=教育科学)前=選択科目の出題範囲に[国語=古文・漢文、数学=数学Ⅲ、英語=英語表現Ⅱ]を追加
和歌山大 [個別]教育(文科系)前=地歴選択不可(国語・英語必須)、同(理科系)=理科→英語、経済・前=数学・英語→総合問題、経済・後、観光・後=小論文→面接
広島大 [セ試]全学の前・後で英語外部試験利用可能(見なし満点。セ試の英語は受験必須)
九州大 [セ試]医(医)前=理科(生物必須→選択)
宮崎大 [セ試]農(応用生物科学)前=地歴・公民を除外:同・後=国語、地歴・公民を除外
兵庫県立大 [セ試]看護前後=理科の基礎2科目除外

国公立大は前・後・中期の変更に注意

【入試日程・会場の変更】

入試日程には、国公立大の前期日程・後期日程・中期日程の変更のほかに、私立大では試験日を前年と変えるというケースがある。この場合は併願に大きな影響を与える。まだ、私立大の入試日程がすべて公表されていないから、出揃ったところでチェックが必要になる。
国公立大の一般入試の変更では、宇都宮大-教育、香川大-農、熊本大-教育、名古屋市立大看護の後期募集停止、公立諏訪東京理科大の前期・中期の新規実施などが注目を集めている。
国公立大の場合は余り地方会場を設けていないが、私立大の場合は近場で受験できるかどうかは経費の節減に関わってくる。
【配点の変更】
19年度は多くみられないが、重要な要素であることは間違いない。上表の金沢大のほか、浜松医科大:[配点]医(医)前=セ試950点→450点、個別750点→700点(面接150点→100点)、愛知県立芸術大:[個別]美術(彫刻)後=面接を除外、配点を変更(1600点→1200点。セ試は600点のまま)

推薦入試か、AO入試かの導入選択

その他の要因として注目されるのが、推薦入試・AO入試を導入するか、廃止するかである。これと連動して募集人員の変更に関わってくる。
19年度では、神戸大のセ試を課さないAOである「志」特別入試が注目されている。16年に始まった東京大・京都大、そして大阪大に続く特別入試になる。
全学部で実施し、募集人員は48人。第一次選抜では志望理由や高校の活動経歴、基礎学力の評価を行う。最終選抜では専門分野にかかわる学力を有しているかを総合的に評価する。さらに、全受験生に面接を課し、書面で測れない学力を対面よって評価するとしている。
このほか推薦入試では、東京外国語大-国際社会などでセ試を課さない、大阪市立大-医(医)などでセ試を課す推薦(地域医療枠)を新規導入する。AO入試では、東北大-文・理、徳島大-医(医)などでセ試を課す、東北大-法、香川大-農などでセ試を課さないAOを導入する。他の大学についてもチェックし、早めに準備しよう。
また、宇都宮大・長岡技術科学大・名古屋工業大・大阪大などで、インターネット出願を導入する。