【20年度推薦・AO入試情報】「推薦入試」「AO入試」とも「超安全志向」で増加傾向。ランクを下げ過ぎてはダメ!!

【キーワード】 入試トピック | AO入試 | 推薦入試

推薦・AO・一般入試の併願者が増加

 19年度入試の受験生にとって、2021年「共通テスト」のプレッシャーは、「超安全志向」を誘発したようだ。従来、併願と言えば大学間同士で起こるのだが、19年度は推薦・AO・一般入試の併願が増えたと見られている。
 今までならば、「一般入試」と「センター利用入試」との併願は当たり前だったが、その枠を超えた入試方式の併願があったという訳だ。何としても、早めに合格を手に入れたかったのだろう。それらの影響もあって、19年度推薦入試とAO入試の志願者は増加した。
 受験生の心理としては、分からないこともないが、焦って選択肢を広げ過ぎるのは良くない。20年度はラストイヤーでもあり、増加傾向が続くと予想される。推薦・AO入試とも、受験生は早めの準備が必要だろう。

公募制は調査書・評定平均値が大事

 推薦入試は、ほとんどの大学で実施している。私立大学では、「一般入試:推薦入試+AO入試」=50%の半々のケースが多い。推薦入試には、公募制と指定校制の2つがあり、指定校制は1校当たり1~2人と募集人員が少なく、他校を併願できない単願のケースが多い。
 一方、「公募制」は、大学が提示した出願条件を満たす人について、学校長の推薦に基づいて高校の成績や活動ぶり、面接や小論文、学力検査などを総合して合否を判定するもの。ちなみに、推薦入試の出願期間は11月。
 国公立大学は原則として公募制推薦のみで、センター試験を課すケースが多くなっている。

2020年度に推薦入試を新規実施する国立大学
群馬大学(共同教育)
信州大学(経法:セ試を課す)
広島大(教育:セ試を課す)
鹿児島大(全学:セ試を課す)
琉球大(理:セ試を課す)など

 公募制推薦は、さらに学業成績中心の「一般推薦」とスポーツや文化・ボランティア活動が基準の「特別推薦」に分かれる。推薦入試の選考で、一番多いのは「書類審査+小論文(または作文)+面接」で、書類は調査書・推薦書・志望理由書などになる。

■私立大学「特別推薦」の主な種類
推薦名称 基準などのポイント
スポーツ推薦 競技種目指定、全国・県レベル
一芸一能推薦 優れた技能などを有する人
資格推薦 高レベルの資格を有する人
文化活動推薦 県レベル以上のコンクール優勝者など
課外活動推薦 生徒会・クラブ活動のリーダーシップなど
社会活動推薦 ボランティア活動等の実績
自己推薦 ジャンルを問わず自信のある人

 調査書の評定平均値は、5段階評価の数値を使用し、「評定の合計数÷評定数(科目数)」で計算される。応募資格に「3.0以上」と書いてあれば、それをクリアすることが条件になる。

「アドミッション・ポリシー」の適合を重視

 AO入試は全大学の約75%が実施している。これは高校からの推薦を必要とせず、書類審査・面接・小論文などによって、受験生の能力・適性、目的意識、入学後の学習意欲等を判定して合否を決める。また、「アドミッション・ポリシー」との適合性が重視される。
 「AO入試」は、
①論文入試型:難関校に多くみられ、2000~3000字程度の志願理由書を提出させたりする
②予備面接型:正式な出願の前に1~2回の予備面接やインタビューを行うもので、AO入試のメインになりつつある
③自己推薦型:従来から実施されている「自己推薦型」に似ている……
の3つに大別できる。②の予備面接型は、時間を要する。エントリー(AO入試への登録)や面談の多くは、大学主催の説明会で行われる。志望理由書も、「エントリーシート」に書き込んで提出するのが一般的で、理由書は重視される。
 私立大学では、エントリー・AO入試登録・面接などに時間をかけるため、出願は8~9月になったりする。最近では、英語外部検定を利用するケースも増えている。
 また、国立大学協会(国大協)では、「すべての国立大学で21年度までに学校推薦型選抜、総合型選抜等による入学者を定員の30%まで増やす」と公表していることもあり、導入する大学が増えているようだ。以下に20年度主要国公立大学のAO入試変更点をまとめた。

■2020年度主要国公立大学「AO入試」変更点
大学名 対象学部等 AO入試の変更内容
弘前大学 教育学部(初等中等教育) *小学校:AOⅡ(25→26人)*中学校:AOⅠ音楽専修(2→3人)、美術専修(0→3人)、保健体育専修(3→5人)
医学部(医学科) AOⅡ(47→42人)
東北大学 経済学部 AOⅢ期理系入試を導入(10人)、Ⅲ期文系入試は例年通り。
筑波大学 理工学群物理学類 アドミッションセンター入試は募集停止(2→0人)
筑波技術大学 産業技術学部(産業情報学科・総合デザイン学科)

両学科でAO(第1回・第2回)入試導入(各若干名)

千葉大学 文学部(人文学科日本・ユーラシア文化) AO入試導入(3人)
教育学部 推薦入試廃止、AOのみの募集に変更。
*中学校:5分野で推薦募集停止(各分野2→0人)→AO募集開始(各分野0→2人)
*小中専門教科 音楽科:AO(2→5人)、図画工作・美術:AO(2→3人)、保健体育:AO(3→5人)、家庭科:AO(2→3人)
*英語教育:AO(7→10人)*特別支援:推薦7→AO7人
*乳幼児:推薦5→AO5人*養護:推薦5→AO5人
理学部(物理学科) AO募集導入(4人)、推薦募集廃止(4→0人)
新潟大学 工学部(工学科) 総合型選抜入試(AO入試)導入(27人)
富山大学 理学部(生物圏環境科学科) AO入試導入(3人)、推薦Ⅰ廃止(4→0人)
福井大学 工学部(応用物理学科) AO入試Ⅱ(2→5人)
大阪大学 理学部 AO入試、募集人員の内訳変更あり。
*挑戦型:化学科(4→0人)、生物科学科(生物科学(2→0人)・生命理学(3→0人))
*研究奨励型:化学科(4→8人)、生物科学科(生物科学(3→5人)・生命理学(2→5人))
神戸大学 医学部(看護学科) 「志入試」(2→4人)
奈良教育大学 教育学部 全専修でAO入試導入(40人)
広島大学 教育学部第三類(国語文科) AO(総合評価方式Ⅰ型)廃止(3→0人)
香川大学 教育学部(中学生教育) AO導入(10人)、推薦入試廃止(13→0人)
愛媛大学 全学部 AO入試(157→170人)
九州大学 芸術工学部(改組予定) AO入試(51→56人)
鹿児島大学 理学部(生命化学科) AO募集停止(4→0人)、その後改組予定発表。
公立千歳科学技術大学 理工学部 AO入試(18人)実施
国際教養大学

 
国際教養学部 AO・IB・高校留学生入試Ⅰ(15→10人)
都留文科大学 英文学科 AO入試(20→35人)
神戸市外国語大学 外国語学部 AO入試導入(若干名)
高知工科大学

 
システム工学群 募集人員変更(カッコ内は県内枠)
推薦入試を県内枠のみとして、AO入試を県外にも広げる。
AO入試:10人(10人)→40人(20人)、推薦入試:40人(20人)→10人(10人)
情報学群 AO入試A区分(面接重視型)・B区分(適性検査重視型)導入
募集人員全体数(カッコ内は県内枠):40人(25人)
北九州市立大学 地域創生学群 AO入試(30→60人)

(西北出版2019年5月調べ)2019年10月10日