【高大接続改革①:高大あれこれ情報】「共通テスト」などで大学&受験生は、4月から本番。高3授業が落ち着かない!!

「定員の厳格化」はこのままで継続へ

 19年度入試でも、都市圏の「大規模私立大の難化傾向」は続いた。この要因である「定員の厳格化」は、文科省の政策によるもので、2016年から実施された。この厳格化の目的は2つ。1つは地方創生のため、大都市圏への一極集中を緩和すること。もう1つは学生に対し、教育の質をしっかり保証することだった。
 2015年までは、収容定員8千人以上の大規模大学について、入学定員充足率、つまり入学定員に対する入学者数の割合を1.2倍までに抑えれば、私学助成金が交付された。ところが、この基準が変更され、16年は1.17倍、17年は1.14倍、そして18年は1.1倍を超えると、助成金が全額カットされてしまうことになった。
 さらに2019年の入試では、全額カットの基準は据え置いたうえで、1.0倍を超えたら、オーバーした入学者の分だけ助成金が減額されることになった。しかし、文科省は18年9月11日付で、入学定員充足率が1.0倍を超えた際に学生経費相当額を減額するペナルティ措置は、19年度から当面の実施を見送るとした。
 これまでの措置により、三大都市圏の入学定員超過や三大都市圏以外の地域における入学定員未充足が改善し、一定の効果が見られたとして、2019年度以降は、入学定員充足率が95~100%の場合に増額するインセンティブ措置のみの実施とすることを決め、通知を出した。
 「定員の厳格化」は大学にも、受験生にも大きな影響を与えたが、このままで継続されることになった。

「資格・検定」で高3の4~12月は大変

 2020年度から導入される「大学入学共通テスト」においては、認定された「英語資格・検定試験」が活用される。さらに、高校3年生における4月から12月の間に受験した、2回までの英語資格・検定試験のスコアのみが成績の対象になるのだ。
 高校2年生で高得点を得ても、大学入学共通テストでは利用できない。ただし、学校推薦型選抜(現行:推薦入試)や総合型選抜(現行:AO入試)、一般選抜における各大学の指定については、個別に各大学の入試要項で確認する必要がある。
 高校1・2年生は何回でも受検できるが、入試利用ではなく実力を確認するということなら、学期に1度程度の受検で十分だ。そもそも、受験生にとっては、学校推薦・総合・共通テスト・一般のどの入試で大学を受験するのかが大事になるだろう。
 例えば、一般選抜の場合、出願は12月から1月にかけてとなる。そうなると、英語資格・検定試験は、高校3年生の秋までが受験チャンスとなる。一方、総合型選抜の出願は9月からだ。総合型選抜での活用を考える受験生にとっては、高校3年生の1学期が受験のラストチャンスになりそうである。
 なお、47都道府県で受検できる英語資格・検定試験は、GTEC、実用英語技能検定(英検)の2つだが、文科省は会場を増やす方向で改善に取り組んでいる。
 こうして見てみると、高3生は、授業どころではなくなってくる。英語資格・検定を受けるとなれば、事前に準備勉強をするだろう。4月になってから慌てないためにも早めの受験準備が必要だ。

国公私立大学の71.9%で問題・解答を公表

 東京大学は2019年3月8日、2019年度前期日程試験における試験問題と解答、出題の意図を3月下旬ごろより公開すると発表した。東京大学は、これまで第2次学力試験の試験問題は公表していたが、解答や出題の意図は公表していなかった。
 文科省は2018年6月、国公私立大学へ「大学入学者選抜実施要項」を通知し、試験問題や解答は原則として公表することを求めた。これを受け、東京大学は前期日程試験の解答と出題意図を公開した。
 解答等は、科目または設問を単位として出題の意図を公表することとし、一義的に解答を示すことができる設問がある場合には、原則として解答を公表する。公表時期は著作権処理が不要な科目は3月下旬ごろ、著作権処理が必要な科目は4月下旬ごろを予定している。
 文科省は2019年4月2日、「大学入学者選抜におけるミスの防止等に係る取組みの実施状況」を公表した。個別学力検査問題をすべて公表する大学は、18年度の64.5%から19年度は71.9%に上昇。19年度選抜実施要項では、試験問題や解答は原則公表と記している。