【20年度「共通テスト」試行調査】1回目の低正答率を改善!! 暗記力から思考力・判断力・表現力が明確に問われた。

試行調査の問題がヒナ型になる

 大学入試センターでは、2020年度から導入する「共通テスト」問題の作成、記述式問題の採点体制などを分析・検証するため、2017年度(11月および2月)に高校などを会場に試行調査(プレテスト)を実施した。
 さらに、同センターは2018年11月10日と11日、全国の大学を会場に試行調査を行った。今回は実際の試験実施体制に近い形として、大学入試センターを利用する全国の大学5 2 8か所を会場としてA日程とB日程(パターン1・2)で試行調査を実施し、6万7747人の高校生が受検した。
 また、同センターは、実施した全6教科18科目の問題・正答、作問のねらいなどを公開している。いわばこれらが、「共通テスト」のヒナ型になる。受験関係者はこれらの出題形式などをベースに、予想問題を作ったりすることになる。

思考力・判断力・表現力で意図は明確

 大学入試センターは、ホームページで「問題のねらい」等を紹介。さらに、「主に問いたい資質・能力」(知識・技能、思考力・判断力・表現力)欄では、作問の意図を分かりやすく説明している。
 まだ、今回の試行調査の結果は発表されていないが、昨年実施した1回目に比べ、難易度を含めて改良されていた。
 大学入試センターは読む資料を減らしたり、記述式問題に工夫を加えたりしたことで、1回目の試行調査で問題となった正答率の低さの解消を目指したという。
 受験生からは、「センター試験と大きく違うので驚いた」「資料を見て考える問題が多かった」などの声があがった。受験関係者の間では、「それなりの方向性が出ていた」といった意見もあった。

数学の記述式はシンプルな解答方法

 いろいろな分析がなされているが、そんな中から、記述式で注目されている「数学」「国語」の特徴を見てみると──。
【数学】1回目の試行調査で正答率が低く、無解答も多かった数学の記述式問題は解答方法がシンプルになり、「解答を記述させよう」という大学入試センターの工夫が目立った。1回目の試行調査で数学の記述式問題は3問出されたが、正答率は2.0%~8.4%と低迷し、半数前後の答案では無解答だった。このため、入試センターは2回目では数式だけ、または短い文章で答える問題を出題した。
 単純な問題では、「集合」に関する基本的な概念を、記号を使って記述させた。ほかには、学校の階段を題材に三角比と不等式で解答する問題と、3つの点が移動するにつれて三角形の面積がどのように変化するか、短文で答える問題が出された。

国語の記述式問題は5段階評価に

【国語】記述式は3問。うち1問は80~120字だが、正答条件を複数設け、どの条件をいくつ満たしたかで4段階評価するなど採点基準を明確化した。さらに3問それぞれの評価をセンターが作成した段階表に当てはめ、トータルでA~Eの5段階の成績に分ける仕組みにしている。
 また、前回調査より全体の文章量を2000字程度減らし、じっくり問題に取り組めるようにした。マーク式の正答が1つではなく、複数の正答を選ばせる出題があるのも、受験生を戸惑わせる新形式となった。記述式は、全体に工夫、改善が見られた。

日常生活などを題材にした問題も!!

 暗記力から思考力へ──。各教科で日常生活などを題材にした問題が複数出された。暗記した知識だけでなく、その知識を具体的にどう生かすか、思考力や判断力を測るためだ。
 昨年の初回試行調査の低正答率を踏まえ、答えやすくする難易度調整も行った。英語では実践力を測る出題が目立った。教育関係者は、他の科目においても、「何とかなる問題になったのでは」と感想をもらしている。
 試行調査は昨年11月に続き2回目で、今回が本番を想定し高校生が参加する最後のリハーサルとなる。これらが「予想問題」の手掛かりになる。

参考:大学入試センター 平成30年度試行調査 問題、正解等
https://www.dnc.ac.jp/daigakunyugakukibousyagakuryokuhyoka_test/pre-test_h30_1110.html(11月10日)
https://www.dnc.ac.jp/daigakunyugakukibousyagakuryokuhyoka_test/pre-test_h30_1111.html(11月11日)