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【京都大】「加齢・飲酒・喫煙」のがん化リスクのメカニズムを解明

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 京都大学の医学研究科・小川誠司教授、医学部附属病院・横山顕礼特定助教、医学研究科・垣内伸之研究員、同・吉里哲一助教、同・武藤学教授、東京大学・宮野悟教授らの研究グループは、食道がんが高度の飲酒歴と喫煙歴を有する人に好発することに着目し、一見正常な食道に生じている遺伝子変異を、最新の遺伝子解析技術で詳細に解析することにより、がんが高齢者で発症するメカニズムの一端を解明することに成功。論文が1月3日付けで国際学術誌「ネイチャー(Nature)」に掲載された。

 今回の研究で、加齢に伴って、食道上皮において食道がんで頻繁に認められる遺伝子の変異を獲得した細胞が徐々に増えていき、70歳を超える高齢者では、全食道面積の40%から80%が、こうしたがん遺伝子の変異をもった細胞に置き換わることが判明。高度の飲酒と喫煙歴のある人では、この過程が強く促進され、しかも、がんで最も高頻度に異常が認められるTP53遺伝子や染色体に異常を有する細胞の割合が顕著に増加することが明らかになった。なぜがんが高齢者に好発するのか、また、それがどのようにして飲酒や喫煙といったリスクによって促進されるのかについて、重要な手がかりを与える知見と言えそうだ。

(大学HP:http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2018/190103_1.html