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【21年度入試:「共通テスト」動向】「共通テスト」英語民間試験、国語・数学の記述式が延期!!2本柱のない入試改革は?

【キーワード】 大学入学共通テスト

試験会場の設置などに公平性を欠く

 文科大臣は2019年11月1日、2021年度入試から英語民間試験を活用して大学入試で英語4技能の評価を支援する「大学入試英語成績提供システム」の導入を見送ると発表した。新たな英語試験は、2024年度(2025年1月)から導入予定。原因は会場の公平性などだ。
 これを聞いた現高2生にとって、忘れられない日になったことだろう。入試の大きな変更は2年以前に行う、という慣例を文科省自らが破ったのだから驚きだ。受験生には、ショックだったはずだ。
 この問題は当該の高2生だけでなく、高3生にも影響を与えた。2021年度の大幅な入試改革を避けて、2020年度入試で入学したいと考えたのだ。学校関係者の話によれば、「受験大学のレベルを下げて合格を狙う超安全志向」という構図である。AO・推薦入試の志願者増も、早めに合格を決めたい気持ちの現れに違いない。

自己採点できない国語・数学の記述式

 「英語民間試験」の導入延期を契機に、教育関係者からは「国語・数学の記述式試験」について、疑問が呈された。採点の質や公正性の確保などへの懸念が根強く、受験生らの不安を解消できないというのだ。
 共通テストの受験者は50万人規模が予想され、その答案を20日以内に採点するため、8000~1万人程度が従事する見通しだった。しかし、学生アルバイトを含む採点者の質や採点のばらつきによる公平性などに課題があった。
 文科省が18年に試行調査(プレテスト)を実施したところ、国語の自己採点と実際の採点結果との一致率は66.0~70.7%にとどまった。このため、志望校選びへの影響も指摘され、受験生らの間で懸念や中止を求める声が広がっていた。
 受験生は自己採点をベースに、受験大学に出願するから、一生を左右しかねない。これらの懸念を踏まえて、文科省は英語民間試験に続いて、記述式の導入を見送ることにした。

英語民間試験を使う国立大は16校

 文科省が共通テストで英語民間試験の活用を見送ったことを受けて、国立大が11月29日、対応を発表した。その結果によれば、各国立大学が英語民間試験をどのように使うのか、使わないのか、大学によって対応は分かれていた。
 学部の入試がある82の国立大学のうち、2021年度入試の一般選抜(現:一般入試)において、英語民間試験の成績を活用すると発表した大学は16校だった。
 このうち全学部で活用するとしたのは、東京海洋大学、広島大学、九州工業大学、佐賀大学、鹿児島大学の5校。一方、千葉大学や金沢大学、九州大学など11校は一部の学部で活用する。これ以外の東京大学や京都大学、名古屋大学など、もともと利用しないとしていた4大学を含めた66校は、活用しない方針を示した。内訳は下の3パターン。
*全学部で活用する   5校
*一部の学部で活用する 11校
*活用しない      66校

不明点は大学HPにアクセスして確認する

 活用の仕方は、大学によって異なっていた。「一定水準以上の成績」を出願するための条件とする大学もあれば、「全員に提出は求めないけれども提出してきたら得点換算して評価する」という大学もある。分かりにくいケースもあるから、各大学のホームページで確認した方が良い。
 21年度入試から導入される「総合型選抜」(現:AO入試)、「学校推薦型選抜」(現:推薦入試)などでは、英語民間試験の成績を活用する大学が多くある。例えば、筑波大学や一橋大学、京都大学、大阪大学などでは、一般選抜(現:一般入試)では活用しないけれども、それ以外の選抜では活用する学部などがあると発表している。
 志望大学を決めたら、その大学のホームページにアクセスして、しっかり確認することが必要になるだろう。