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【2020年度国公立大学入試動向】学科の「改組」が目立つ。「国立理系」「私立文系」のイメージに変化はない!!

【キーワード】 新増設・改組

学部新設は長崎大学情報データ科学部

 文科省は8月30日、20年度国立大学の入学定員(予定)を発表した。入学定員は前年度(19年度)と比べて107人少ない9万5543人。
 入学定員の増減を分野別にみると、「人文社会」30人増、「理工」90人増、「農水」「薬・保健」増減なし、「医・歯」62人減、「教育」165人減、合計で107人減らす。これは社会での人材の需要を反映しているかもしれない。
 学部の新設は、長崎大学(情報データ科学部)の1学部。学科の廃止は、岐阜大学(教育学部特別支援学校教員養成課程)と鹿児島大学(教育学部特別支援教育教員養成課程)の2学科。そのほか、学部・学科の改組、入学定員の改訂などをまとめた一覧表が文科省のWebサイトに掲載されている。
 20年度も改組が行われ、教員養成系や理・工系が中心になっている。従来の流れで細分化されてきた学科を1つの学科・課程に再編・統合して、入学後に専門分野を決めるシステムを導入したりする場合が多い

慎重に進路を決める「一括入試制度」

 AI(人工知能)やロボット、IoT(モノのインターネット)などが拡大している。この時代の流れに対応する「データサイエンス学部」の人気が高くなっているのだ。先行する滋賀大学・横浜市立大学は、19年度の志願者が増加した。学部新設の長崎大学情報データ科学部は、この流れの中にある。
 最近は従来の学問の枠にとらわれない、クロスオーバーさせた学際的な学部が多くなっている。「リベラルアーツ学部」のように、広い分野の学問を学ぶイメージだ。
 教員養成・理・工学系を中心に、学部内の複数の学科・課程を、1つもしくは少数に統合・再編するケースが目立つ。また、入学時に一括募集したうえで、2年次以降に進路を決定するシステムを設ける大学が増えている。1年次に知識や教養を深めてから、慎重に考えて進路を選択できる。北海道大学の総合入試が先行している。

■国立大学学部・学科新設&改組・定員 ※数字:定員
学部の新設(1校)
長崎大学 情報データ科学部110人
学部・学科の改組(学部1校・学科6校)
宇都宮大学 現・教育学部170人⇒新・共同教育学部170人
群馬大学 現・教育学部220人⇒新・共同教育学部190人
新潟大学 現・経済学部経済学科185人、経営学科120人⇒新・経済科学部総合経済学科350人
弘前大学 医学部:新・心理支援科学10人
愛媛大学 教育学部:現・学校教育教員養成課程140人、特別支援教育教員養成課程20人⇒新・学校教育教員養成課程160人
九州大学 芸術工学部:現・5学科187人⇒新・芸術工学科187人
鹿児島大学 理学部:現・4学科185人⇒新・理学科185人
工学部:現・7学科440人⇒新・先進工学科385人、建築学科55人

(文科省 2019.8.30 発表分)

国際関係・データサイエンス系に注目

 難化が続くと予想される20年度入試だが、どの学部を狙ったらいいのか。一般的に、景気が上向きの時は、文系の人気が高くなる。就職状況を見ると、「文高理低」の傾向が強い。また、最近の動向では、「理系の国立、文系の私立」のイメージが強いのも事実だ。
 人気が高いのは、私立大学を中心に社会、経済・経営・商。国際関係系は注目されている。この中で、法学部の人気はイマイチだ。
 理系では、保健衛生系に次ぎ、工学系も志願者を増やしている。また、AI(人工知能)やICT(情報通信技術)・IoT・データサイエンスなど、IT系が注目されている。医系の医・薬は下降気味、歯は低調。農・水産系も低い。介護福祉・看護系は需要がある分野だから、資格を取っておくのも1つの選択だろう。